【医師解説】ケロイド・肥厚性瘢痕(傷あとが盛り上がってしまった状態)とは?

こんにちは!
ゆうメンタルスキンクリニック医師の森しほです。

さて、「傷あとをきれいにする治療=美容医療や自費診療」というイメージを持っている方も多いかもしれません。

もちろん、見た目をより美しく整える目的では美容医療が選択肢になることもあります。

でも実は、ケロイドや肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)のように、
傷あとが病的に盛り上がってしまった状態は、病気として保険診療で治療できる場合があります。

今回は、意外と知られていない「ケロイド・肥厚性瘢痕の保険治療」についてご紹介します。

◆ ケロイド・肥厚性瘢痕とは?

けがや、帝王切開を含む手術、やけど、ニキビなどのあとが治る過程で、
皮膚が盛り上がって残ることがあります。

普通の傷あとでは、時間とともに少しずつ目立ちにくくなっていきます。

しかし、ケロイドや肥厚性瘢痕では、

・赤く盛り上がる
・硬くなる
・かゆみがある
・痛みや違和感がある
・大きく広がっていく

などの症状が出ることがあります。

自宅でできるケロイド・肥厚性瘢痕のケア

ケロイドや肥厚性瘢痕は、皮膚が傷を治す過程でコラーゲンが増えすぎてしまうことで起こります。
そのため、日常生活では「傷あとに余計な刺激を与えないこと」が大切です。

ドラッグストアなどで購入できるものでも、ケアに役立つものがあります。

① シリコンテープ・シリコンジェル

傷あとケア用品として市販されている代表的なものです。
傷あとを適度に保護し、乾燥や摩擦を防ぐことで、盛り上がりを抑える目的で使われます。

特に、

・手術後の傷あと
・できて間もない傷あと
・赤みや硬さが出てきた傷あと

などで使われることがあります。

ただし、すでに大きく盛り上がったケロイドの場合は、市販ケアだけでは十分な改善が難しいこともあります。

② 保湿剤

傷あと周囲の皮膚が乾燥すると、かゆみや刺激につながることがあります。

ドラッグストアでは、

・ワセリン
・ヘパリン類似物質配合の保湿剤
・低刺激の保湿クリーム

などがあります。

皮膚をやわらかく保ち、摩擦を減らすことが目的です。

③ 紫外線対策(日焼け止め)

傷あとは紫外線によって、

・赤みが長引く
・色素沈着が目立つ

ことがあります。

外出時は、

・日焼け止め
・衣類で覆う
・日傘や帽子

などで紫外線対策をしましょう。

④ 摩擦を避ける

ケロイドや肥厚性瘢痕は、刺激で悪化することがあります。

例えば、

・下着やマスクが当たる場所
・衣類の縫い目が擦れる場所
・掻いてしまう場所

などは注意が必要です。

かゆくても強く掻かず、保湿などで刺激を減らしましょう。

⑤ 傷を引っ張らない

傷ができた場所によっては、皮膚が引っ張られることで傷あとが盛り上がりやすくなることがあります。

新しい傷の場合は、医療用テープなどで傷を保護することもあります。

◆ 注意したいこと

「市販のクリームを塗れば消える」と思われることがありますが、
ケロイド・肥厚性瘢痕は皮膚の中で炎症や線維の増加が起きている状態です。

特に、

・どんどん大きくなる
・赤く盛り上がる
・痛い、かゆい
・硬くなっている

場合は、皮膚科で相談することがおすすめです。

早めに治療を始めることで、症状をコントロールしやすくなることがあります。

どんな場合に保険診療になる?

ケロイドや肥厚性瘢痕は、単なる「美容目的の傷あと」ではなく、症状がある場合には治療対象になります。

例えば、

・赤みや盛り上がりが強い
・かゆみや痛みがある
・服が擦れて刺激になる
・傷がひきつれたりかたくなり、体が動かしにくい
・徐々に大きくなっている

などの場合は、診察の上で治療を検討します。

ただし、すべての傷あとが保険治療になるわけではありません。
傷あとがどの状態なのか、ケロイドなのか肥厚性瘢痕なのか、治療が必要な状態なのかによって判断されます。

保険でできる代表的な治療

① ステロイド外用薬・貼付剤

塗り薬や貼り薬で治療することもあります。
特に小さい傷あとや、初期の盛り上がりなどでは選択肢になります。

自宅で継続しやすい治療ですが、効果が出るまで時間がかかることもあります。


② ステロイド局所注射

ケロイドや肥厚性瘢痕の治療でよく行われる方法のひとつです。
盛り上がった部分にステロイドのお薬を注射します。

どんな治療?

皮膚の中で起きている過剰な炎症やコラーゲンの増えすぎを抑えることで、

・赤みを減らす
・盛り上がりをやわらげる
・かゆみや痛みを軽くする

効果が期待できます。

向いている方

・盛り上がった傷あとがある
・硬くなっている
・症状がある
・徐々に大きくなっている

という方に検討されます。

注意点

1回で完全になくなるとは限らず、状態によって複数回治療することがあります。
また、注射部位がへこむ、皮膚が薄くなるなどの副作用が起こることがあります。


③ 圧迫療法・テープ療法

傷あとを適度に圧迫したり、テープで保護したりする方法です。
傷あとへの刺激を減らし、盛り上がりを抑える目的で行われます。

自費診療になることが多い治療

傷あとを「目立たなくしたい」という美容目的の場合、自費診療になることがあります。

・レーザー治療(ヤグレーザーのフラクショナル)
・ダーマペン

などがあります。

ただし、ケロイドや肥厚性瘢痕の状態によっては、まず保険診療での治療が適している場合もあります。
「美容だから全部自費」と思わず、一度状態を確認することが大切です。

よくある質問

Q. 傷あとが盛り上がっています。全部ケロイドですか?

A. いいえ。

似たように見えても、肥厚性瘢痕や通常の傷あとなど種類があります。
治療方法も異なるため、診察で判断します。


Q. 昔の傷でも治療できますか?

A. 時間が経った傷あとでも、かゆみや痛み、盛り上がりがある場合はご相談ください。


Q. 保険治療だけで完全に消えますか?

A. ケロイドや肥厚性瘢痕は、完全に元の皮膚に戻すことが難しい場合もあります。

ただ、症状を軽くしたり、目立ちにくくしたりすることは期待できます。

Q. 傷あとが盛り上がっています。全部ケロイドですか?

A. いいえ。

似たように見えても、肥厚性瘢痕や通常の傷あとなど種類があります。
治療方法も異なるため、診察で判断します。


Q. 保険治療だけで完全に消えますか?

A. ケロイドや肥厚性瘢痕は、完全に元の皮膚に戻すことが難しい場合もあります。

ただ、症状を軽くしたり、目立ちにくくしたりすることは期待できます。

医師からのメッセージ

傷あとが盛り上がっていると、「体質だから仕方ない」と諦めてしまう方もいらっしゃいます。
でも、ケロイドや肥厚性瘢痕は、皮膚の中で炎症が続いている状態で、治療できる場合があります。

痛みやかゆみがある傷あと、少しずつ大きくなっている傷あとは、
早めに相談することで治療の選択肢が広がることがあります。

「これって治療できるのかな?」と思った時点で、お気軽にご相談ください。

詳しくは診察でご相談ください。

この記事の監修

皮膚科 森医師

森しほ

ゆうスキンクリニック治療最高責任者
皮膚科医/産業医/抗加齢医学会専門医
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