東京都が猛暑対策として、男性職員のハーフパンツ勤務を推奨

こんにちは、ゆうスキンクリニック医師の森しほです。
東京都が猛暑対策として、男性職員のハーフパンツ勤務を推奨したことが話題になっています。
https://www.bbc.com/japanese/articles/c4g6jm5208mo
それに対してSNSでは、「スネハラ(すね毛ハラスメント)」という言葉まで登場しました。
この「ハラスメント」という言葉には違和感があります。
体毛があることをからかったり、「気持ち悪い」というように人格を否定するような発言は、それ自体がハラスメントではないでしょうか。
でも一方で、「状況によっては体毛を整えることが望ましい場面がある」という話まで、すべてハラスメントとして片付けてしまうのは少し違うのではないかと思います。
すね毛が濃いのは「体質」です

まず大前提として、すね毛が濃い・薄いはほとんどが体質です。
男性ホルモンや遺伝の影響が大きく、「毛があること」を恥ずかしいと思う必要はありません。
ただし、「衛生面への配慮」が必要な場面はあります。
一方で、医学的には体毛がある部位は汗や皮脂が付着しやすく、皮膚の常在菌も存在しています。
そのため、医療現場や食品を扱う職場など、高い衛生管理が求められる環境では、体毛を適切に管理することが感染対策や衛生管理の一つとして行われています。
また、体毛がある部位は蒸れやすく、臭いの原因になったり、毛嚢炎(毛穴の炎症)を繰り返したりすることも、皮膚科ではよく見られます。
また近年では、皮膚の常在菌がどこに存在しているのかも詳しく分かってきています。
2023年にeLife誌へ掲載されたAcostaらの研究では、生きた皮膚常在菌の多くは皮膚表面ではなく、毛包(毛穴)など皮膚のくぼみに存在していることが示されました。つまり、毛包は皮膚常在菌の重要な「リザーバー(住処)」になっていることが分かっています。
https://elifesciences.org/articles/87192
さらに、2024年の『The effect of long-pulsed 1064 nm Nd:YAG laser-assisted hair removal on some skin flora and pathogens: An in vivo study』という研究では、レーザー脱毛後に皮膚表面の好気性菌・嫌気性菌・ブドウ球菌などの菌数が有意に減少したことが報告されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37609732/
もちろん、この研究だけで「脱毛したほうが清潔」と結論づけることはできません。
しかし、「体毛には汗や皮脂、細菌が付着しやすく、衛生面に影響を与えることがある」ということについては気を付ける必要があります。

「脱毛する・しない」は本人が決めればいい。
だからといって、「体毛の濃い男性は脱毛すべき」という話でもありません。
体毛があることは自然なことですし、そのままで全く問題ありません。
一方で、「ハーフパンツを履く機会が増えた」「自己処理が面倒」「毛嚢炎を繰り返す」「見た目を整えたい」という理由で医療脱毛を選ぶ方も増えています。
実際、ゆうスキンクリニックでは、医療脱毛の患者さんは男女ほぼ同数です。
ヒゲ脱毛だけでなく、すね毛や腕、全身脱毛を希望される男性もたくさん来院されています。
「男性だから行きづらいかな……」と心配される必要はありません。
「ハラスメント」という言葉で議論を終わらせないでほしい
私は、「体毛がある人を否定すること」も、「脱毛したい人を否定すること」も、どちらも違うと思っています。
大切なのは、「自分がどうしたいか」。
そして、医学的な事実と個人の価値観は分けて考えることです。
何でも「ハラスメント」と片付けてしまうのではなく、医学的な知見も踏まえながら、お互いの選択を尊重できる社会になればいいなと思います。
もし「すね毛が気になる」「毛嚢炎を繰り返す」「自己処理で肌荒れする」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
男性の患者さんも、本当にたくさんいらっしゃいますので、ご安心ください。
