肌の乾燥を甘く見ないで。実は「美容」だけの問題ではありません

こんにちは。ゆうスキンクリニックの医師、森しほです。
「最近、肌が乾燥するな」
そう思っても、保湿クリームを塗って終わりにしていませんか?
もちろん、単純な乾燥だけなら、日々のスキンケアで対応できることもあります。
でも、乾燥して、かゆい。赤い。粉をふく。ヒリヒリする。
ここまで症状が出ているなら、単なる「美容の乾燥肌」とは少し話が変わってきます。
皮膚科で治療できる皮膚炎が隠れていることがあるからです。
◆ まず、乾燥しやすい習慣を見直しましょう
肌が乾燥しやすい人に多いのが、洗いすぎです。
「汚れをしっかり落とさなきゃ」と、熱いお湯で長時間お風呂に入ったり、ナイロンタオルなどでゴシゴシこすったりしていませんか?
洗浄剤を使いすぎたり、肌を強くこすったりすると、皮膚への刺激になります。
また、冬だけでなく、エアコンの効いた室内でも肌は乾燥しやすくなります。
そして、乾燥しているのに「ベタつくのが嫌だから」と保湿を避けてしまうのも、乾燥を長引かせる原因になります。
自宅でできる基本的な対策は、まずシンプルです。
お風呂は熱すぎないお湯にする。
肌をゴシゴシこすらない。
洗浄剤は必要なところに適切に使う。
そして、お風呂上がりなどに保湿剤を塗る。
アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が低下しているため、
炎症を抑える治療とともに保湿などのスキンケアを行うことが重要とされています。(公益社団法人日本皮膚科学会)
◆でも、「かゆい乾燥」は放置しないで
ここが大切です。
「乾燥しているだけだから」と思っていても、
・かゆい
・赤い
・粉をふく
・皮膚がガサガサする
・掻いて傷になっている
・湿疹が繰り返す
こうした症状があるなら、皮膚炎が起きている可能性があります。
日本皮膚科学会でも、アトピー性皮膚炎の症状には乾燥、赤み、カサつき、掻き傷など
さまざまな段階があるとされています。(日本皮膚科学会)
「乾燥肌だから仕方ない」と何年も我慢する必要はありません。
◆乾燥を甘く見ないほうがいい理由

皮膚には、外から異物が入ってくるのを防ぐ「バリア」の役割があります。
ところが、乾燥や炎症によってこのバリア機能が低下すると、
皮膚から水分が逃げやすくなるだけではありません。
外からの刺激やアレルゲンが入り込みやすくなります。
この「皮膚からアレルゲンが入り、免疫が反応する」という経皮感作は、
アレルギー疾患を考えるうえでも重要な仕組みです。
厚生労働省のアレルギー疾患対策に関する資料でも、皮膚バリアが低下するとアレルゲンが皮膚を通過して経皮感作が起こり、食物アレルギーや喘息、アレルギー性鼻炎などとの関連が説明されています。(厚生労働省)
また、アトピー性皮膚炎そのものも、根本に「皮膚の乾燥とバリア機能異常」があると日本皮膚科学会は説明しています。(日本皮膚科学会)
つまり、
乾燥する
↓
皮膚のバリア機能が低下する
↓
刺激を受けやすくなる
↓
炎症・かゆみが起こる
↓
掻く
↓
さらにバリア機能が低下する
という悪循環に入ってしまうことがあります。
だからこそ、「ただの乾燥」と放置しないことが大切なのです。
◆ クリニックでは何ができる?
もちろん、自宅での保湿だけで改善する乾燥もあります。
一方で、赤みやかゆみ、湿疹などの症状がある場合には、
保湿だけではなく、炎症を抑える治療が必要になることがあります。
皮膚の状態を診察して、必要に応じて保湿剤や外用薬などを使いながら、症状を落ち着かせていきます。
アトピー性皮膚炎では、炎症を抑える薬物療法とスキンケアを組み合わせることが治療の基本です。(公益社団法人日本皮膚科学会)
そして、ここも知っておいてほしいところです。
「乾燥肌だから美容皮膚科の治療を受けないといけない」わけではありません。
単純な美容目的の乾燥対策と、かゆみや湿疹などの症状に対する治療は別の話です。
症状があり、保険診療の対象となる疾患と診断された場合には、健康保険を使って治療できることがあります。
大人なら通常は健康保険の自己負担が原則3割で、診察や薬の内容によって変わりますが
、数百円から数千円程度になるケースもあります。
また、子どもについては自治体の医療費助成があり、
年齢や所得などの条件によって自己負担が無料になる場合もあります。
東京都や神奈川県でも子どもの医療費助成制度がありますが、対象年齢や自己負担の条件は自治体によって異なります。(データでわかる東京)
「乾燥してかゆいけど、病院に行くほどではないかな」
そう思っている方も、一度皮膚科で相談してみてください。
◆ 肌をきれいにするためだけではなく、肌を守るために

肌の乾燥というと、「美容」の話に思えるかもしれません。
でも、皮膚は単なる見た目のためのものではありません。
外からの刺激や異物から、私たちの身体を守る大切なバリアです。
だからこそ、
乾燥を放置しない。 かゆみを我慢しない。 掻き続けない。
そして、自宅でできる保湿を続けながら、症状があるときは適切な治療を受ける。
肌をきれいにするためだけではなく、肌のバリア機能を守るためにも、
乾燥が気になる方は一度ご相談くださいね。
この記事の監修

森しほ
ゆうスキンクリニック治療最高責任者
皮膚科医/産業医/抗加齢医学会専門医
皮膚科のことなら、どんなことでもお気軽にご相談ください。
あなたのお力になれるよう、全力で診療させていただきます。
