勉強中に音楽を聴いていい？～ゆうスキンクリニックコラム

勉強中に音楽を聴いていい？

こんにちは。ゆうきゆうです。

「勉強中に音楽を聴いた方がいいのでしょうか？　ダメなのでしょうか？」

そんな質問をよくいただきます。
結論から言うと、「聴かない方がベター」です。

ドイツの心理学者マンフレッド・シュピッツァーによると
「音楽を聴きながら勉強や仕事をすると、『マルチタスク』になってしまい、集中できず、脳が疲労してしまう」
そうです。

マルチタスクというのは、複数の仕事を並行して行うこと。
一見、すごい能力が高いように思えます。
たとえばパソコンとかは、当然のようにマルチタスクをしますよね。
動画処理をしながらウェブサイトを出し、音楽を流すなどができます。

パソコンが
「いや、今動画処理してるからウェブサイト見せられませんよ！　しかも見たいの萌えイラストサイトですよね！？　動画処理と並行してまで見るページっすか！？　後にしてくださいよ後に！」
とか反抗してきたら即返品です。

いずれにしても、パソコンは同時並行ことマルチタスクが当然です。
しかし人間の場合、パソコンとは違います。

マルチタスクはできません。
いえ、一見マルチタスクをしているように思えても、結局は
「それぞれに断片的に集中していることの、繰り返し」
なのです。

たとえば勉強をしながらＬＩＮＥを見て、さらに音楽を聴いているとするなら、
「ある１分は勉強、次に３分ＬＩＮＥ、そのあと５分は音楽に集中している…」
などのように、それぞれ一つにしか集中していない、というわけです。

マルチタスクは幻想だというわけです。
さらにこれを繰り返していると、脳がめまぐるしく色々な集中を切り替えているので、結果的に集中力が疲労し、どんどん効率が悪くなってしまうのです。

もしやるのなら、
「勉強に集中して30分」
⇒「終わったから、ＬＩＮＥに集中して10分」
⇒「終わったから、音楽に集中して20分」
などのように、「一つ一つ」こなした方がいいわけですね。

よって勉強中に音楽を聴く、というのはあまり良くありません。

ただ、それでも「でもやっぱり、自分は音楽を聴きながらやった方がいい」という方はいるでしょう。
それこそ刷り込みのように、音楽とやる気が結びついている場合です。
そのときは、それはそれでアリだと思います。

ただその場合も、できるなら「ＢＧＭだけの曲」を心がけた方がいいかと思います。
それであれば、
「言語的能力は勉強に」
「イメージ能力は音楽に」
と割り振ることができるので、あまりジャマしあいません。

しかしボーカルがあると、それこそ「誰かが目の前でしゃべっている」のと一緒なので、どちらも「言語的能力」を使うことになり、集中がカチ合ってしまうことになります。

するとマルチタスクになってしまうことになります。
よって重要なのは、とにかく「ボーカルなしのＢＧＭ」にするように心がけることです。

特に個人的にオススメするのは「環境音」です。
実は人は「完全な無音」では、かえって集中できなくなることもあります。
なぜなら無音というのは、原始時代でいうなら、「夜」の象徴。

それこそ無防備な状態で、外敵が襲ってくる可能性がある時間帯なので、その分、かえって周囲の音に集中してしまいます。
そのため、ちょっとした物音で「ビクッ」としてしまい、そちらに意識が分散してしまうリスクもあります。

そのため、「波の音」とか「自然の音」とか「雑踏の音」とか、そういう音を流してみるのもアリかもしれません。
明確な抑揚のある音楽ではないので、そこまで集中を妨げず、また完全な無音ではないので、予想外のジャマな音を聞くこともありません。

いずれにしても、個々人によって集中できる環境は違うと思うので、集中できないときは、色々な「音」を試してみて、もっとも集中できる環境を見つけてみるのも手かもしれません。

どうか試してみていただければ幸いです。

ちなみに自分自身、カフェで原稿の仕事をすることが多々あります。
特に、隣のおしゃべりの声が気になる場合、それこそ「環境音」をイヤホンで聴きながら仕事をしたりします。

つい最近、その環境音を聴くために、YouTubeを利用しました。

適当に検索して出てきたのが「集中ＢＧＭ　波の音３時間」みたいなタイトルでした。背景は海岸の風景のみで、ひたすらエンドレスで波の音が流れるだけの動画でした。

それを流しつつ、仕事をしていました。
一応は集中できました。

しかしそのあと、ネットの通信量を見てみたら、３ＧＢを超えていて、あっというまに通信制限になりました。すさまじい。

それ以降、通信制限でスマホ回線が恐ろしく遅くなりました。
まさか自分が、波の音で通信制限になるとは。マイナスの意味で波に乗りました。
そのことがショックすぎてかえって集中できなくなりました。

切ない思いを抱えつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

（完）

ちなみに今回の内容に近いことを動画でも話しています。

監修・制作	このページは、ゆうメンタルクリニックの医師・スタッフが監修・制作しております。特別監修・ゆうきゆう精神科医、心理学者。東京大学医学部医学科を卒業後、うつ病・統合失調症・てんかん・パニック障害・社交不安障害・不眠症など多くの疾患の治療を行い、2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。『マンガで分かる心療内科』の他、100冊以上の著作があります。
運営	ゆうメンタルクリニック（秋葉原院、池袋院、上野院、大阪院、大宮院、新宿院、渋谷院、品川院、横浜院）ゆうスキンクリニック（池袋院、上野院、新宿院）
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